
脊椎脊髄外科
脊椎脊髄外科
脊椎外科とは、脊椎(背骨)と脊髄(脊椎骨髄)に関連する疾患や障害の治療を専門的に行う診療科です。脊椎は背骨のことであり、脊髄は脳と体の神経情報伝達を担う中枢神経系の一部であり、それらの部位に起因する問題や障害に対処するのが脊椎外科の専門です。
脊椎は体の中で大変長い部位を占める骨であり、首(頸椎)~お尻の辺り(仙骨)まで40cm以上もあります。さらにその骨の中に脳からの太い神経(脊髄)が通っていて体中に脊髄から枝分かれした神経が通っています。
脊椎と脊髄に何らかの異常をきたすと、患部の痛みや痺れを起こしたりします。
椎間板ヘルニア
症状としては腰やでん部の痛み、下肢にしびれや痛みが生じます。足に力が入りにくくなることもあります。背骨が横に曲がってしまい、動きにくくなったり、重いものを持ち上げると強い痛みが出たりすることもあります。治療は強い痛みがある時期は、安静を心がけます。消炎鎮痛剤、坐薬、神経ブロック(炎症を抑える薬剤の注射)などで痛みを緩和します。痛みが軽くなれば、牽引や運動療法を行うこともあります。最近では内視鏡による低侵襲手術も広く行われるようになっています。
脊柱管狭窄症
特徴的な症状は、歩行と休息を繰り返す間歇性跛行(かんけつせいはこう)です。そのため、長い距離を続けて歩くことができなくなることもあります。腰痛は強くなく、安静時にほぼ症状はありませんが、立っていたり歩いたりすると、ふとももや膝から下にしびれや痛みが生じて歩きづらくなります。また、腰椎の前屈姿勢をとると痛み・しびれが軽減することもあります。脊柱管狭窄症は、加齢、労働などによって変形した椎間板と、突出した骨などにより、神経が圧迫されることによって起こります。保存的治療は薬物療法、リハビリテーション、コルセット、神経ブロックなどがあります。内視鏡を使った低侵襲手術が行われることもあります。
腰椎変性すべり症
腰椎変性すべり症は、腰椎(腰部の脊椎骨)における変性疾患の一つで、主に腰椎の椎間板や椎骨の変性によって引き起こされる病態です。一般的には、腰痛や坐骨神経痛などの症状を引き起こすことがあります。腰椎変性すべり症は、椎間板の変性と椎骨のすべりが主な特徴です。通常、椎間板は脊椎と脊椎の間に存在し、衝撃吸収や柔軟性を提供します。変性すべり症では、椎間板が劣化し、椎骨が前方または後方にすべることがあります。
主な症状としては、椎間板のすべりが神経に圧迫をかけ、坐骨神経痛を引き起こすことがあります。これは腰から臀部、下肢への放散痛やしびれを伴うことがあります。また、重症の場合、歩行や日常生活に支障をきたすことがあります。腰椎変性すべり症は、年齢とともに進行することがあり、症状の管理と早期の治療が重要です。
頚椎症
頚椎症とは、加齢とともに首の骨が変形することで、周囲の脊髄や神経が圧迫される病気です。頚椎症では、手のしびれをきたすことが多いですが、首の痛みで発症することもあります。重症化すると歩行障害、巧緻運動障害、膀胱直腸障害などの症状が出現し手術を要することもあります。
圧迫骨折
圧迫骨折は、脊椎が外部からの圧力や外傷によって折れる状態を指します。脊椎は脊髄を保護し体重を支える重要な役割を果たしています。圧迫骨折が重症化すると歩行障害、下肢の麻痺を起こすことがあります。特に高齢者では骨粗鬆症が原因で起こることが多く、その管理が重要になります。
首下がり症候群
首下がりは、一般的に首の前屈曲が過度になり、頭部が前方に傾いてしまう姿勢のことを指します。この状態は通常、首の筋肉の不均衡や筋力の低下、悪い姿勢習慣によって引き起こされることがあります。首下がりの特徴としては、頭部が前方に傾くことです。これにより、首の前部に過度な圧力がかかり、頚椎への負担が増加します。
首の筋肉の不均衡や弱体化は、首下がりの主要な原因の一つです。通常、頭部を正しい位置に保つために必要な筋力が不足している場合、頭部が前に傾きやすくなります。長時間のデスクワーク、スマートフォンやパソコンなどの使用、曲がった姿勢を保つことも頭部前傾を促進することがあります。また、胸腰椎の圧迫骨折により、猫背になることが首下がりの原因になることもあります。
首下がりを緩和し、予防するためには、適切な姿勢を心がけ、筋力トレーニングで首回りの筋肉を強化したり、長時間の座り仕事や画面操作の後には定期的な休憩とストレッチなどを取り入れましょう。
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